- 中国 深圳・香港 視察報告 2018年7月2018-07-28 Filed under: 海外
2018年7月 アジアのシリコンバレーと呼ばれている都市 深圳(シンセン)。数年前から様々なところでものすごいスピードで中国が変わっているという話を聞いており、そのもっとも最先端の場所がもっともイノベーションが起きやすい活気ある都市としての話題性が高かった場所。ハードウェアのエコシステムといえば聞こえがいいが、オープンソース的な発想が著作権のゆるい中国では、オープンハード?になっており、パブリック基盤と呼ばれるものが出回っている社会。
そこで実現したものがハードウェアの組み合わせで世の中にないもの。あるものでも低コスト、短納期で実現できる仕組みが構築された。
また、中国の風土からから信用商売となるクレジットカードの普及より先にモバイルが普及した時代背景。さらにFacebookやLINE、Googleが使えない国の環境から、中国独自の起業、BATHと呼ばれる4大企業が急成長。
バイドゥ、アリババ、テンセント、ヒューウェイのビック4が中心となって深圳でベンチャー企業への出資なども行うことでさらに新しいビジネスやアイデアは加速する。
これらの様々な要因が独自のカタチで進化し、電子マネーの普及を推進。新しくできたものが、インフラとして定着し、その上に何ができるかという常に新しいビジネスモデルが生まれる環境。
環境といえば、走っている車の7割~8割が電気自動車(EV)。トラックや業務関連の車両、バスなどはほぼ100%電気。町の中がとても静かで、多くの車が走っているのに音が静かだった。
電気自動車が普及することで、世界の車は締め出しを食らっている。こんなに日本車、ドイツ車が少ない都市を見たのは初めてだった。また車は購入するのにナンバーを購入するという仕組み、1つのナンバーを購入するのに日本円で200万円とも言われていることからカーシェアも普及している。これももちろん電気自動車。
そんな深圳を今回、弊社役員3人で見てきた。日本から香港へ、中国の特区である香港から北上し深圳に入り、中国国内の入国審査を受けて中国本土に入るが香港はGoogle、Facebookも利用可能。LINEもいけるし、中国用のWifiでも問題なく接続できた。
しかし国境近くなると電波が悪くなり、使えたり使えなかったり。深圳に入ると香港からの電波しか使えなくなってしまった。ちなみに通常はVPNでないとつなげないようだが、世界Wifiは深圳でも接続できた。
ただ一緒のツアーにいた人で香港との国境近くのホテルに宿泊している人はホテルの回線でGoogle、LINE、Facebookなどを利用できたらしい。私たちの宿泊したホテルはグゥアンドン ホテル(深セン粤海酒店)(GUANG DONG HOTEL SHENZHEN)だったが何よりフロントが日本語対応可能なのがうれしかった。ちなみにインターネット回線は残念ながら中国回線でGoogle、LINE、Facebookなどには接続できなかった。
さて、視察ですがスタートしてすぐに気づくこと・・・香港はもちろんですが、深圳はかなりの都会でした。香港は人口約740万人、深圳は1250万人。とにかく人がいるというイメージです。さすが中国。
上記写真の平安国際金融中心は、深圳の新しいシンボルになる建物。中国第2位の生命保険会社である中国平安保険(集団)の本社ビル。2018年7月現在は建設中。最頂部は660mとなり中国で最も高いビルとなる。エレベータは80機あり地上115階。地下5階建。私たちは、今回2日間の現地のIT視察ツアーに参加し様々な場所にバスで案内してもらいました。中国という土地柄、また言葉の通じない場所だったので、効率的に見たいと思い視察に初参加。非常に濃縮した二日間となりました。
以下の写真は 華強北電子 という秋葉原のような中国一の電気街です。ガイドの人が知識さえあればスマートフォンの部品がここで全部手に入り、組み立てることができるぐらい部品を購入できるとおっしゃってました。
ここがこの電気街の入り口のモニュメントだったのですが、とにかく小さい店がものすごい数並んでいます。部品屋さんのほうが多いのですが、生成品を売っているお店も多く。どこの店でも様々な、大手メーカーの複製品的な電化製品が格安で売っていました。試しに買ってみたいものなどにはとても良いかもしれませんね。
少し前まではそのような生成品は様々な無名の複製品だったといいますが、最近はブランドが大事だということになり、ブランド名をもっていろいろな複製品をつくっている店が増えてきました。このような流れがあり、中国企業がシャープを購入したかったということになったのだといいます。
中国人もすぐに壊れるものや、保証のないものはやぱりいやなのでしょう。一定のクオリティであることを保証するブランド力がないとなかなか売れなくなってきているということを聞き、人の心理はそうなると思いました。
ただ新しいものづくりのスピードや、クオリティよりできる成果が優先のこの場所では日本企業のモノづくりのスピードでは革新的なことはできないと感じました。とにかくスピードとコストで勝負してくることにかけては最高の場所だと感じました。
それがいろんな意味で「試作品の実験地」と呼ばれる場所の由縁だと思いました。
そして電気街を出た後 アリババ傘下のオンライン注文、デリバリーのスーパーを視察しました。UBERイートのようなイメージの宅配スタッフが待機しており、数時間以内に海産物を生きたまま届けるというサービスが売りなんだそうです。
また、お店には水槽があり水槽から直接海産物を選んで調理スペースにもっていくと料理もしてくれるとのこと。
スーパーで好きなものをテーブルにもってきて食べるという発想は斬新です。
終わった後にアリペイで支払う。アリペイしか使えないというのはかなりこれも斬新ですが・・・ちなみに旅行で行ってもアリペイには現在チャージできません。
電子マネーのことをちょっと書くと、中国政府の管理ができなくなるということもあるのかもしれませんが、現在はアリペイのIDは中国に銀行口座の持っている人しか作れなくなっています。ただWeChatPayのアカウントはカードで作れるようになっており、チャージは専用端末か知り合いからチャージしてもらうしかありませんが、持つことはできます。
今回の目玉、先進的技術のひとつ。無人コンビニです。3店舗見に行きました。正直日本の高速のサービスエリアでできてることじゃないか?という発想です。
すごいのは顔認証すること。電子マネーが使えること。調理や決済の仕組みがすごいのであって、無人コンビニの内容はAMAZON GOとは比べ物にならないほどいまいちでした。
ちなみにものづくりも私の所感ですが、スピード及びコストは意識があるけどクオリティは60%でいいよね。という感覚があるように感じます。
先進的なことをしたいということはわかりますし、そういう実験的取り組みはすごいと思いますが、日本だと実験段階であって実用レベルではないよねというレベルから一般公開されているイメージです。
例えば、ICタグやバーコード、カメラセンサーなどでの商品認識が間違えたり、顔認証の際に後ろの人がいるとその人から間違って決済してまったり、何を捨ててどうスピードを上げるかを日本人より究極を極めた感じです。
2件目行ったのですが、店舗は空いてましたがアプリで購入しようとすると商品は入っていますが、販売できませんというエラーになってしまいました。ガイドの方二人でいろいろやってくれましたが、ダメでした。そういうこともあるんですね。
そしてもう1店舗行ました。カモ肉販売店です。今年5月から周黒鴨(鴨肉加工食品の小売店)とWeChatPayが提携して 周黒鴨×WeChatPayスマート店舗ができオープンしたということで見に行ってきました。入口の壁一面が液晶で未来的なイメージ。無人店舗の入り口も顔認証で入ります。事前に登録していると入れる仕組みなのですが入り口は二次元認証なので、私も違う人と認識されて入れました(笑)
顔認証の決済は3次元認証となっており、さすがにこれはできませんでした。この台の上に置くとカメラがバーコードと重さセンサーで読み取り、商品を特定します。無人でやるということに意味があるのだと思いますが、慣れていないせいか購入しようと思ったのですがなかなか認識してくれませんでした。カメラの向きに合わせるなどコツが必要なようです。
ちなみにここまで無人にしたら商品の補充も何かでやればいいのにと思うのですが、商品の補充はスタッフの方がいらっしゃってやっていました。。まだまだフルでの無人化は遠いようです。
ここからはソフトウェアパーク視察の内容となります。今回の視察の2つ目の目玉。深圳のインキュベーション施設。それとCECCと呼ばれる電子消費情報センターの視察です。近未来のワクワクするような電子機器のイベント会場のような場所です。
アメリカでいうと「b8ta」のメーカーブース展示場みたいなところです。入口はのスターウオーズ ストームトルーパーの実寸の人形があり、エレベータは乗車箱内が前面液晶で近未来間万歳でした。まるで宇宙に飛び上がるようなエレベータで期待感MAX感動の瞬間でした。
エレベータ内の映像といえば、ニューヨーク ワールドトレードセンター エレベータがニューヨークの歴史をエレベータ内の液晶全面でやっているのを思い出し、近未来のエンターテイメント性というのはアメリカも中国も考えることが似てるのかなと思いました。
深圳で最も世界に有名な会社DJI。深圳にはドローンの開発、販売企業が200社以上あるそうです。dJIはコンシューマー向けドローンで最も大きな企業だということでした。工業用や業務利用のドローンだと高層ビルの建設に合わせて消防用のドローンも実用化間近なところまで来ていることです。人々の安全のためにドローンが活躍する時代ももうすぐ来るのかもしれません。
日本でも話題になりました。4面から見れる3Dモニュメントです。生きているように話ができます。学習機能も付いていて話し相手になってくれるようです。そうやって人はコミュニケーションを人としなくなり、機械とするようになってくるのかもしれません(笑)
ある教室で小学生が勉強会をしていました。中国だから英語は勉強しないのかなと思っていましたが、先生は英語で話しており、英語と実験を兼ねた授業のようでした。みんな片言ではありますが、それでも積極的に英語で発表しているのを聞いていると日本の小学生のほうが英語の教育レベルは遅れているなと感じました。
IoTセキュリティグッズ。電子錠です。スマホでも、番号でも鍵でも施錠・解錠できる優れモノ。
冷蔵後についているモニター。インターネットに接続しレシピなどを検索できるとのこと。中国語で使えなった。
ヘルスケア管理できる洗面台。前に立つと健康状態、体重などを計測してインターネット経由で保存。日々の状況を記録してくれるような仕組み。とても未来を感じる。欲しい!!そう思った1品です。
これはトイレですが、検査できるトイレです。リトマス紙を使って健康状態を数秒で検査できる検査通信機器のついたトイレです。また中国はなぜかトイレは全面防水であることが大事なようで、水を回りからかけても大丈夫ということが1つの”特徴”になっているようです。
施設の中に、体のサイズ、体重・身長などをセンサーで測定できる自動販売機のような機器。自分の携帯電話にSNSで転送できるのですが、残念ながら中国の携帯電話番号でないと送信できない。計測できるのに記録できない(笑)
ここで少し休憩。突然のカフェ。これも視察です。すごいものに出会いました。ガイドの人が勝手にドリンクを注文。普通のアイスコーヒーがいいなと心の中で思っていたら、出てきたのは「ドリンクの上にクリームチ―ズの乗った紅茶。ここは中国で大人気のカフェで HEEKCAA(ホッカチャ) というお店でした。なんでも混ぜて飲むのですが、人気すぎて行列が当たり前のこのお店。中国で30店舗の展開をしているとのこと。最近韓国にも進出したなんて話も聞きました。
びっくりして飲みましたが、うまかった。クリームチーズと紅茶 合うんです。なかなかおいしい。
日本にもあるですかね?IT関係ばかりのツアーの間にこのようなほっとするような時間もプロデュースしてくれたツアー会社「ホワイトホール」佐々木さんに感謝です。
さてここからはソフトウェアパークの視察です。以下の施設は弁護士施設で、この場所には投資家、ベンチャー企業、弁護士、会計士などスタートアップから企業が成長するのに必要な人達が集まる町全体がインキュベーション施設のような場所です。
そこにテンセントの本社ビルがドドーンとあります。圧巻。
投資家や金融、ベンチャー企業も様々な企業がここに入っています。Googleなんかもいるのが不思議な感じでした。また以下の模型はソフトウェアパークの模型です。インキュベーション施設というかパークという点からかもしれませんが、私が見てきた中で世界一規模がでかい。シリコンバレーで各企業やPlug and Playのような施設がここのパーク一か所に集まっている感じですね。
ソフトウェアパークを抜けて電子決済と注文の仕組みも電子化。こういう注文の端末は、そういえばパリでもみました。パリのマクドナルドでこんな端末で注文した気がします。店員さんは商品出すだけ。
下にあるカメラのある場所で決済します。これは近い将来実現可能なファーストフードのカタチですね。
でもいずれにしても電子マネーの普及が最優先なのかもしれませんね。
さて、そして最後に深圳のベンチャー企業訪問の様子です。無人コンビニを普及させている企業訪問ということだったのですが、親会社がゲノム系の企業でジェネリックや薬などを手掛ける関係から、なぜかそちらのほうまで見学することに・・・入ってすぐ柱が液晶モニター。お金ありますっていうのが伝わるエントランス。
オフィスもおしゃれでした。カウンターがあり、そしてソファーやテーブル席もあり、中国が新興国というイメージは完全に払しょくされていると思います。日本の企業よりおしゃれ?
ここからは親会社見学。ゲノム系。医療についての話はあまり興味がわきませんでした。中国で医療?ピンとこないですが、アメリカとの共同研究などもしているようです。
長ーい壁全面に液晶。進むたびに映像が出てきて説明してくれる。過去から現在までの原子の説明から、現代につながるところを語ってくれる。企業がプレゼンの為にどれだけお金かけれますか?まさにミュージアムレベル。
医学系だからできるのかな。すごい施設でした。
そして、そのベンチャー企業の無人コンビニ見せてもらいました。ここは今まで見てきたものよりクオリティ高いです。アリだなと思いました。決済の際、商品間違ってたのは気になりましたが・・・細かいことを気にしないで先進的なことをしていこうという深圳の心意気。私も日本人の慎重すぎるところは世界基準には程遠いなと感じました。
また深圳にいる人たちが変わり続けていることに慣れているということ。私が感じたのが日本でいうと渋谷みたいなところ。新しいこと、新しい取り組み、新しい社会の仕組みなんかも、便利になるなら変わることを受け入れていくっていう姿勢があること。
イノベーションはそういう場所じゃないと起きないという。そこに住む人達の発想力や考え方への依存性は非常に高いと感じました。
中国 深圳の企業訪問して、私たちも何かイノベーションを起こし、新しい付加価値を埋めるものが作れる可能性があることを知りました。もっと自由に発想できることが必要。いつの間にか、日本の常識、日本のクオリティ、日本のやり方にとらわれている自分が、めちゃくちゃだな中国人と思いながらも、そうではなくプライオリティをどこに置くか。
それによってどういう効果を得られるか。という成果の為のチャレンジ。新しい取り組み。新しいモノづくり。そんなことをもっとしないといけないなと思いました。
ショッピングモールも規模がでかい。
これショッピングモールの至るとこにあるカラオケボックス。日本でははやらないと思いますけど、中国の方結構使ってました。
日本にはない活気がある場所。街の歴史は浅く、漁村から急激に進化した場所。上海、香港の下町工場のような役割で安い賃金でモノ作りができる場所として栄えてきた場所。ここに古くから住む人は少なく、中国全土から出稼ぎに来る場所。平均年齢32歳からくる若さ、未来への可能性。ワーカーの平均給与は7~8万円程度とのことですが毎年上がっているとのこと。若い街ですが、子供や家族ずれもいろいろな場所で見ることができ、子育てする街にもなっていくように思いました。
きっと教育ビジネスはやるだろうな。
少し聞くと10年住んでいらしゃるというガイドの佐々木さん。医療にはちょっと不安といっていたのも、理解できるきがしました。ビジネスでは学ぶことが多い場所のような気がします。
また、弊社が本当にモノづくりするなら世界基準のここでやることが正解だろうなと確信しました。
罠も多いし常識も通じない。言葉の壁もある。でもそれを含めて考えてもそれ以上に、新しいことにチャレンジする基盤と、スピードとコストに魅力があり。魅力的な場所だなと思いました。
世界には、そんな町全体が急成長して近未来を創造としている場所がある。そこに勝つ、負けるではなくそんな場所を活用していくことを考えることが私たちのやるべき形だと感じた視察でした。